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世界トップクラスのパティシエたちが技を競うアジア初のパティシエ世界選手権「世界パティスリー2009」が3/14,3/15の両日開催されました。
参加国は次の8カ国。オーストラリア、中国、フランス、イタリア、日本、マレーシア、シンガポール、アメリカ。各国審査員として2名、選手として3名参加しました。
競技内容は以下の通りで、2日間13時間の中で作り上げます。尚、大会テーマは「エコロジー」です。
・アメ細工ピエスモンテ 1台
砂糖を原料とし、色をつけ、それを様々な形(流しアメ、引きアメ、吹きアメ、その他パスティヤージュ)で加工して作り上げる作品。高さ150×幅60×奥行き40cmのサイズ内で作る
・チョコレートピエスモンテ 1台
チョコレートのみを使って作るピエスモンテ。サイズはアメ細工ピエスモンテと同様高さ150×幅60×奥行き40cmのサイズ内で作ること。
・皿盛りデザート1種類
できたてを前提に作り、必ず温かいものと冷たいものを組み合わせること。
・アントルメ1種類
直径18cm、高さ4.5cmのセルクルを使用、チョコレートを使用しないという規定がある
競技が始まってから4時間で試食が行われるため、その時点で一番おいしい状態にすることも重要。
・ボンボンショコラ2種類
型抜きと上掛けの2種類を作ること。通常のボンボンショコラと異なり日持ちさせる必要がないので、フレッシュ感あるショコラを作ることも可能。
・ガトー・ド・ヴォワイヤージュ
焼き菓子のこと。1週間以上常温で保存が可能という規定がある。その焼き菓子をいれるパッケージの使用も義務付けられている。
・プティガトー3種類
通常パティスリーで売られている小さなサイズのお菓子をプティ・ガトーと呼びます。チョコレートを使ったもの、生地(シュー、シュクレ、フィユタージュなど)を使ったもの、グラスを使ったものの3種類を作ること。
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今回作られた作品の一部は会場外のショーケースに展示されましたので紹介します。
左から、アントルメ、ボンボンショコラ、ガトー・ド・ヴォワイヤージュ、プティガトーの順に掲載しています。 |
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▲備考)ヘーゼルナッツ風味のケーク生地の中央に柚子を使ったパートを絞りこんだ構造が面白い。見各部門1位を獲得。 |
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▲備考)アントルメはミントとパイナップルを合わせた爽やかなムース。中央に空間があるバームクーヘンのような形状が珍しい。 |
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▲備考)イタリアの作品はどこか情熱的で色っぽい。ボンボンショコラ(奥)は口紅のようなデザイン。 |
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▲備考)日本での大会を意識してか、ガトードヴォワイヤージュでは桜を使用。(ピスタチオ、チェリーを組み合わせている。)デザインも和モダン。 |
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▲備考)プティガトーではチャイナフルーツの中でも人気のライチを使ったグラスデザートが登場。ガトードヴォワイヤージュのラッピングでは中国らしい装飾(リボン)を使用。お国柄を随所に表現。 |
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▲備考)淡いグリーンが美しいアントルメは青りんごが主役。表面には各国の言葉(英語やフランス語、日本語など)で「青りんご」の単語が描かれている。 |
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▲備考)美しいデザインセンスで観客を魅了したフランスチームの作品。つややかなグラサージュのアントルメには繊細な木の葉の細工が。 |
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▲備考)どっしりと大きく焼かれたガトードヴォワイヤージュは、グリーンの生地(ピスタチオ?)と杏を合わせた色合いが美しい |
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▲中央)三島シェフ、右)大橋シェフ |
競技中は、選手たちは仕切られたブース内の小さな厨房で黙々と作品作りに取り掛かります。
その間、様々なパティシエの方たちによるトークセッションが行われました。
この大会開催について思うことや、各国チームについての感想、修業時代の話など様々な興味深い話が飛び交います。日本のパティスリーの先駆けとなった大御所のシェフから、そのシェフたちからお菓子を学び成長した若手のシェフまで、世代を超えてこの日本で初めて行われた世界大会についての熱い思いを感じ取れました。
いつもはなかなかお目にかかれないシェフも数多く、パティスリーファンにとっても楽しいトークセッションになったのではないでしょうか?
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▲中央)辻口シェフ、右)スペシャルサポーターの石田純一さん |
▲左)神田シェフ、中央)宮本シェフ、右)浦野シェフ |
▲中央)吉田シェフ、中央)河田シェフ、右)平井シェフ |
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アメリカ |
日本 |
イタリア |
シンガポール |
中国 |
オーストラリア |
フランス |
マレーシア |
皿盛りデザート |
320 |
335 |
300 |
360 |
300 |
260 |
360 |
255 |
アントルメ |
305 |
355 |
325 |
335 |
265 |
310 |
365 |
255 |
ボンボンショコラ |
680 |
705 |
695 |
510 |
495 |
620 |
755 |
450 |
ガトー・ド・ヴォワイヤージュ |
345 |
345 |
305 |
275 |
275 |
265 |
315 |
225 |
プティ・ガトー |
1050 |
1110 |
930 |
960 |
880 |
775 |
1210 |
660 |
芸術点 |
2260 |
2645 |
1850 |
1700 |
1770 |
1660 |
2245 |
1295 |
作業点 |
2220 |
2580 |
2150 |
2220 |
2070 |
1980 |
2520 |
1620 |
総合点 |
7180 |
8075 |
6555 |
6360 |
6055 |
5870 |
7770 |
4760 |
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日本チームは、若手の3人の選手が活躍!
左からエーデルワイスの野田朋宏さん、帝国ホテルの秋城俊徳さん、エコール・ヴァンタンの鍋田幸弘さん。
味覚点ではコンスタントに高得点を獲得し、常に3位以内をキープ。
すべての作品を完成し結果2位フランスに300点近くの大差をつけての優勝。
決め手になったのがピエスモンテの芸術点。ピエスモンテはアメ、チョコ両方とも各部門賞を受賞し高得点をマークした。また、効率よく美しく無駄のない仕事をしたかが評価される作業点でも1位を獲得。
審査員の中島シェフ、喜島シェフ、そしてたくさんの先輩シェフ達のアドバイスや協力を得て、それを大きな力に変え素晴らしい結果を迎えられたのではないでしょうか。
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フランスチームは日本で活躍するベテランぞろい。写真は左からポワルヴェ・ローランさん、アントワーヌ・サントスさん、ブルノー・ルデルフさん。
ポワルヴェ・ローランさんさんは青山でお菓子教室「ポワルヴェ・エコールドゥパティスリー青山」、アントワーヌ・サントスさんは東京でパティスリーとお菓子学校「エコール・クリオロ」、
ブルノー・ルデルフさんは製菓学校ル・コルドンブルー神戸校の主任教授をされています。
大会前から注目されていたチームですが、やはりデザインセンスは素晴らしく、味覚点でも高得点を確実にしていきました。
総合点では2位。思った以上にピエスモンテの芸術点が伸び悩んだ。今回のピエスモンテは大変美しく流れのあるる、シンプルモダンなデザイン。コンテスト作品として審査員や大会の趣向性と若干ずれがあったのだろうかと感じました。
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実は授賞式で一番印象に残ったのがアメリカチーム。
「3位アメリカチーム」の発表後、選手たちは歓声を上げ喜んで皆で抱き合っていました。自分たちのしてきたことが評価されたのを素直に喜ぶ様子がとてもさわやかでした。
写真は左からフレデリック・モローさん、フラニア・メンディヴィルさん、ナタニエル・レイドさん。
アメリカチームは、味覚点では、ガトー・ド・ヴォワイヤージュで1位を獲得しているものの、その他では4位や6位などやや苦戦気味だった。それを挽回したのがピエスモンテの芸術点。
特に剥製のような緻密なウルフのチョコレート細工は多くの人の注目を浴びていました。大会テーマ「エコロジー」を意識した野性味あるピエスモンテが高く評価されたようです。 |
世界パティスリー2009
世界最高権威と評されるパティシエ世界二大大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」(仏)と「WPTC(World Pastry Team Championship)」(米)に並ぶ、世界最高レベルを競うアジア初のパティシエ世界選手権。
■開催テーマ 『「世界をつなぎ、世界へ発信する」スイーツの祭典』
■開催日時 2009年3月14日(土曜日)、3月15日(日曜日)
■会場 東京ドームシティ JCBホール
■公式HP http://ipgp.jp/
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