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vol.006 アロマクラシコ パティシエ

パティシエが活躍する場はパティスリーだけではない。レストランパティシエの存在がある。レストランではお客様が食べる直前にデセール(デザート)を作り上げるという瞬間的なおいしさを提供する。
今回は、イタリア料理店「アロマクラシコ」のパティシエを務める捧さんをご紹介


今考えると、もともと図工や工作など何かものを作り出すことが昔から好きでした。

高校時代になると、自分で何かを作る仕事をしたい、手に職を付けたいと自然に思っていました。
そこで料理かお菓子を作りたいと思っていたのですが、お菓子を作る仕事をしたいなと強く思うようになりました。

料理ではなくお菓子を選んだ理由は、自分自身が甘いものが好きなこと、手先が器用だったこともあるのですが、お菓子が人を喜ばせたり、楽しませたりできると感じたからです。

お菓子は「記念日」だとか「楽しい時」に食べる機会が多いですよね。
お菓子を作ることで、そのお菓子を食べた人たちの楽しい時間を演出したり喜ばせたりできる。そんなお菓子を作るパティシェの仕事を「いい仕事だな。」と思いました。

そのため、高校を卒業後、東京国立市の辻製菓専門学校に入学しました。それまで、お菓子を作る経験はほとんどなかったものの、実際授業でお菓子を作ってみて、とても楽しいなと感じました。また、自分が作ったお菓子を知人に食べてもらうととても喜んでくれました。

そこで、改めて「やっぱりお菓子を作ることはとてもいい仕事だし、これを職にできたら楽しく仕事ができるんじゃないか。」と強く感じました。

専門学校を卒業間近、第一に就職先として希望したのは、「レ・アントルメ国立」でした。そこで、シェフに就職したいとお願いしたのですが、その当時は採用の予定が無かったために、残念ながら就職はできませんでした。

その後、製菓関係の本をいろいろと調べてみると、レ・アントルメ国立のえび澤シェフはルコントで修行した経験があるということが分かりました。


氏名 捧 雄介(ささげ ゆうすけ)
年齢 27歳
職業 アロマクラシコパティシェ

18才
19才
辻製菓専門学校で洋菓子を学ぶ。
19
23才
青山ルコントに入社。一通りの仕事を経験する。
23
26才
オテル・ドゥ・ミクニで、テイクアウト・デセール両方の製造を経験。
26才 アロマクラシコに入社
そこで、自分がやりたい仕事、基礎となる仕事はルコントにあるんじゃないか?と感じました。実際ルコントのお菓子を食べてみたら、自分が作りたいお菓子だと確信が持てたので、ルコントに就職しました。

ルコントでは4年間修行をしました。ルコントの製造の仕事は大きく分けて、生地・焼き菓子・生菓子に別れます。各セクションを1〜1年半経験し、全セクションを経験しました。

最初の1、2年は分からないことやできない事も多いし、先輩にしかられたりと、辛い時期もありました。でも、だんだんと仕事を覚えてきて責任ある仕事を任されるようになると仕事の楽しさを感じられるようになりました。

4年間修行し、一通りのセクションを経験し、お菓子作り基礎となる部分を習得でき自信もでてきました。そのため、新しい職場で新しい仕事に取り組んでみたいと思うようになってきました。
▲お客様の様子をうかがいながら、皿盛りの仕上げを進めていく。作業は、「素早く」そして「正確に」が基本。
その後、オテル・ドゥ・ミクニ(以下ミクニ)に入社し、寺井シェフ(現エーグルドゥースのオーナーシェフ)の元で働くことになりました。

いざ働き始めると、ルコントとは仕事の組み方やお菓子の仕込み方が全然違うことに驚きました。今までが常識だと思っていたことが常識ではなかったりすることもあり、最初はそれを自分の中に取りいれるのにとまどいましたね。

具体的には、ルコントでは、きちんと決められていることが多いのに対し、ミクニでは、いい意味で力抜けている、個人個人に任されている部分が多いのです。
しかし任されているとはいっても、任せっきりなのではなく、寺井シェフは要所要所できちんと見ていてくれました。
寺井シェフは、個人個人のやり方や癖を把握していて、スタッフに仕事を任せてくれました。そして、やり方についても細かく制限するのではなく、最終的にできあがるものが同じであればよいという方針でした。

最初は「これでいいのかな?」と不安になったりもしましたが、やっていくうちに「やり方は1つじゃないんだ!」ということを実感し、仕事にも幅が出てきました。

ミクニでは、テイクアウトとレストランデセールの部門に別れています。最初の2年半はテイクアウト、その後半年間デセールを担当しました。

鮮やかなオレンジ色が夏らしさを演出しているデセール。▲
「フレッシュマンゴーとクリームチーズのムース オレンジのソルベ添え」
レストランでは、パティスリーのようにできあがったお菓子を食べてもらうのではなく、すぐにその場で食べてもらう繊細な皿盛りのデセールを作るために、失敗は許されないな環境でした。
常に緊張感がありましたが、忙しい時にも冷静に対応できる力や集中力が身に付いたと思います。

現在は、レストランで働いた経験を活かせるイタリア料理店「アロマクラシコ」で現在パティシェとして働いています。
▲デセールのメニュー名を考案するのも捧さんの担当。名前によってお客様の反応も変わるという。


アロマクラシコでは、料理と共に提供するパン、グリッシーニ等の仕込みと皿盛りのデセールを担当しています。

まず出社したらパンの仕込みから始めます。営業時間には皿盛りデセールの仕上げと平行して、ランチやディナーのための仕込みをしています。

アロマクラシコに勤めるまでは、そのお店のシェフが考えたケーキを作ったり、デセールを皿に盛っていました。
しかし、今はそれだけではなく自分でメニューを考案することからやらせてもらっています。今の季節ならどんなデセールを食べたくなるか、どんな素材の組み合わせがいいか、お客様が喜んでくれるか・・・等を考えながら、自分の引き出しからアイデアをだして試作していきます。

このアイデアは今までに修行してきた経験によるものも大きいですが、個人的にレストランに行ったり、洋菓子に限らず和菓子を食べることも心がけています。

レストランで働くことで、洋菓子に限定するのではなく、もっと広い視野で食べ物について考えられるようになりました。
皿盛りのデセールですが、試作ができたら原田シェフ(アロマクラシコのシェフ)に提案して、アドバイスを頂きながら完成させていきます。
入社当初は、どうしてもいろいろと飾ってしまいましたね。今までのフランス菓子を作っていたのでどうしても飾りたくなってしまっていたのです。
そして、シェフに提案すると「これ(飾り)は、いらないよね。」と言われてしまいましたが、だんだんと感覚的にですがアロマクラシコの方向性が分かってきました。

自分なりに心がけているのは、そのままでは単純になってしまうところに、味覚面でインパクトやアクセントを加える事ですね。


それから、アロマクラシコでは、パン、デセールだけではなく、料理の手伝いやまかないを作ることもよくありますよ。

以前から料理には興味があったので、とてもおもしろいですよ。お菓子だけをやっていたのでは出会えない珍しい食材に出会えるので勉強にもありますね。
料理と共に提供されるパン作りは、パティシェの担当。大きなフォカッチャは切り分けて提供される。▲


起床 8:00 
出社 10:00
パンの仕込み・成形〜ランチの準備 10:00〜11:30
開店 11:30
営業時間(デセールの提供と平行してディナーの準備)

11:30〜15:30

昼食 15:30〜16:00
休憩 16:00〜17:00
営業時間(デセールの提供と平行して翌日の準備) 17:00〜23:00
清掃・片づけ 23:00〜23:30
▲コースの最後には、ドリンク(コーヒー・紅茶・エスプレッソ)と共に小菓子(アーモンドの糖衣がけ、メレンゲ菓子、ビスコッティ)が提供される。


自分が考えたデセールが皿の上で形となり、それをお客様が食べて喜んで下さる時が一番嬉しいですね!

アロマクラシコは、 オープンキッチンなので、お客様の顔がキッチンから見えるんです。自分の作ったデセールに対して、お客様がどんな反応をしているかをいつも気にかけています。

特に新しく作ったデセールでが登場する初日の1皿目は、お客様の反応がとても気になりますね。

お客様の顔が見えない場合にも、サービスのスタッフに頼んで、お客様の声を聞いています。

▼客席と通路をはさんでオープンキッチンがあり、客席からキッチンの様子をうかがえる。▲

デセールを食べたお客様から「おいしかったよ。」という声を頂いたり、お客様が嬉しそうな顔をしながらデセールを食べて下さることが一番嬉しいですね。

やはり、自分が作ったデセールでお客様が喜んでくれる気持を感じながら仕事をしたいなと思うし、こうやって喜んでもらえるとこの仕事をやっていて本当に良かったなと思いますね。

▲スタッフが生パスタを仕込んだり、ウニの中身を取り出していたり....活気あるキッチンからはライブ感が伝わってくる。


将来は、独立してパティスリーを開業したいですね。

いつ、どこで、というところまで具体的には決まっていませんが、イメージとしては、地域に根ざしたお店を作りたいです。

そして、お客様が「いつきても、このお店に来たらおいしいケーキが食べられるよね。」と喜んで下さるようなお店をやりたいと思っています。

それから、フランスにも行ってみたいんですよね。フランスの地方菓子に興味があるので、できれば独立する前にフランスに行き、様々な地方のお菓子を見てみたいと思っています。

そして、今までのパティスリーと、レストランで経験したことを活かしたお店にしたいです。

最初はテイクアウトのみのお店になるかもしれませんが、後々、皿盛りデセールも提供できるといいなと思っています。

このオーブンで、パンから焼き菓子まで全て焼き上げている▲
▲キッチン・サービスのスタッフ同士のチームワークも抜群!スタッフのバースデーには捧さんがサプライズでケーキを作る事もあるそうだ。


レストランとパティスリーでのパティシェの仕事は、お菓子の構成や味のバランスを考えて作り上げていくという点では大きな違いは無いと思います。

ただ、レストランではもっと広い視野で、食材・デザイン・味覚等の感覚の部分でお菓子というものをとらえることができるので、食に関しての幅を広げるには、レストランパティシェは良い仕事だと思います。

それから、この業界に入ってすぐに辞めてしまう人も多いですが、せっかくこの道を目指したからには極めてもらいたいなと思います。
当然、最初はできないことも多いし、絶対辛い部分や苦しい部分をすごく感じることもあると思います。でも続けていけば、できるようになるし、仕事も楽しくなっていきます。

苦しい時期を抜けたところに、次のステップが見えてくると思うので、すぐに辞めてしまわないで、そこを乗り越えて頑張ってもらいたいですね。
▲シルバーとブラウンで統一した、都会的な雰囲気の店内。窓の外には、青々と茂ったグリーンが見えて、ゆったりとした気分で食事ができる。

それから、目標を持つことも大切ですね。その目標を達成するには何が必要か?を考えながら仕事をすると自然に目標に近づいていけますよ。

そして、シェフが言ったとおりに行動するだけではなく、「自分で考える力」を身につけて欲しいと思います。いつでも自分のアイデアを提案できるように常に「考える」ことが大切だと思います。

とにかく、やれば楽しい仕事なのでやって損はないと思いますよ!


shop data
店名  アロマクラシコ
住所 東京都港区港南2−16−3品川三菱ビル1F
TEL 03−6718−2822
営業時間 ランチ  11:30〜14:00LO
ディナー 17:00〜21:30LO
定休日 日曜日

 

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