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vol.007 製菓学校助手

お菓子の仕事に就きたい。と思う若者の多くが、製菓学校でお菓子についての技術、理論を学んでる。
そんな学生達が学校生活を有意義に過ごし、そして卒業後製菓業界で活躍できるようサポートする仕事がある。それが今回紹介する製菓学校の助手という仕事。


小さな頃からずっと「ケーキ屋さんになる!」という夢を持っていて、それ以外考えられなかったですね。

振り返ってみると、小学校の1,2年の頃に図書館で偶然この学校(現在勤めている香川栄養専門学校)の先生の本を読んだのがきっかけかな?と思います。
その本には、 クリスマスケーキ、プリン、ドーナツなどがどうやってできたのか? といったお菓子の由来などが紹介されていました。

小学生の私にはその内容がすごく面白くて、楽しかったのです。
その本の巻末に簡単なお菓子の作り方が載っていて「お菓子は、こういう風に作るんだな。」ということがなんとなく分かりました。
その頃から、将来は「クッキー屋さんになる!」、「ケーキ屋さんになる!」と言ってましたね(笑)。

お菓子を作り始めたのは中学生になってからです。
初めて本格的に作ったのはスポンジケーキでした。本をみながら作ったのですが、これがなかなかうまくできたんです。それで、調子に乗って(笑)色々なお菓子を作るようになりました。

高校時代には、自宅でかなりお菓子作りをしていましたね。
お菓子の本を買ってきては、スポンジや冷たいお菓子(冷菓)や和菓子などいろいろと作っては、友人や家族にあげていました。

高校を卒業後、専門学校(香川栄養専門学校の製菓科)に進学しました。
私は、高校時代に結構お菓子作りをやっていたので、自分なりにお菓子作りの腕に自信をもっていました。

でも最初の授業でジェノワーズ(スポンジケーキ)を失敗してしまったんです。 それがとてもショックだったので、授業では人一倍頑張りましたね。

氏名 吉村 彩
年齢 24歳
職業 製菓学校助手

18才

香川栄養専門学校製菓科入学
19〜
21才
洋菓子店サンタムールで修行
21才 香川栄養専門学校製菓科に助手として就職
24才

同校同学科のクラス担任を受け持つ

香川栄養専門学校のHP

とにかくお菓子を作ることが大好きだったし、同級生もケーキが好きな子、ケーキ屋になりたい子が多いし、実習ではいろんな講師の先生が来てくれるので学校生活はとても楽しかったです。

学校は1年制なのですぐに就職活動の時期がやってきました。
ずっとケーキ屋さんで働きたいと思っていたので、自分が気になったケーキ屋さんの就職説明会には出来る限り参加していました。

当時の私は、今の学生と同じように就職先にいろんな条件を求めていましたね。(笑)
例えば、工場のような流れ作業は嫌だ 、小さいお店でもいいからかわいらしいところがいい、
ケーキがおいしいお店、等々......
▲この日の講師、洋菓子店「成城アルプス」の太田シェフ。Cake Orange(ケーク オランジェ)・Cake Earl grey(ケーク アールグレイ)の2種のパウンドケーキを教える。  
それなので、いろんなケーキ屋さんを探してみるものの、なかなか就職が決まりませんでした。 そして、10月になった頃先生から「以前講師をして下さった先生のお店がオープンしたのよ。」とあるお店を紹介して頂きました。

お店は「サンタムール」という茨城県のケーキ屋さんでした。早速私は学校帰りにお店に向かいました。

今でもサンタムールに行ったときの衝撃は忘れられないですね!
自分の理想のようなかわいらしい雰囲気のお店で、シェフや奥さんにも優しく接して頂いたのです。そしてお店でケーキを食べたのですが、今まで食べたケーキの中で一番おいしい!と感激したのです。

私の実家は千葉なんですが、「自分の家がどこ」だとか、「このお店が家から遠い」とか、そんなことは全然関係なく「このお店で働きたい!」と思いました。その1週間後に「サンタムールで働きたい」旨を伝えました。タイミングが良かったこともあると思うのですが、快く迎えて頂きました。
実習がスムーズに進行するように、実習前に計量は済ませておく。(助手や当番の学生の担当)▲

▲デモンストレーションの様子。講師の先生がお菓子を実際作りながら手順やポイントを説明していく。

サンタムールでは、入社してすぐにいろんな仕事をさせてもらいました。就職するまでは、製菓業界は厳しいところなので、新人の自分はしばらく洗い物や掃除ばかりだと思っていたのです。

でも、入社初日にフルーツのカットをしたり、クッキーを鉄板に並べたり・・・直接お菓子をさわることが出来たのです。

思っていた以上の仕事をやらせてもらえ、またシェフや先輩方にいろんな仕事についての話やお菓子の話を聞くことができ、とても楽しく充実したスタートを切りました。
でも仕事に慣れてくると、楽しいことばかりではありませんでした。
だんだん技術的な事やメンタル面で注意されることが多くなってきたのです。
今考えると当時の私は気分の浮き沈みが激しく、それが仕事にもでていたのだと思います。そんな状態がしばらく続き、 何度も「辞めてしまいたい...」と思いました。

でも、昔から親や友人にも「私パティシェールになるんだ!」と言っていた手前意地もありましたし、自分の小さな頃からの夢でもあったので、その思いを忘れずに仕事に励みました。
その日に作るお菓子のレシピの資料作成、板書するのも助手の仕事。▲
サンタムールで働き初めて3年目の夏頃、母校の先生から「就職ガイダンスを行うので、今の仕事のことを学生に話してほしい」とお願いされました。

そして学校に行った際に、先生から「今、製菓の助手を募集しているのよ。」というお話を頂きました。サンタムールをあがったらら、どこかのケーキ屋さんで働こうと思っていたのですが、その時に「助手」という仕事もあるんだな。と初めて気付きました。

自分がお菓子を学んだ母校でもあるし、先生方のこともよく知っているし、学校は好きでした。
ずっとお菓子に関わる仕事をしていきたいと思っていたので、学校の助手としてのお菓子の仕事もいいな。と思いはじめました。
そして次のステップとして製菓学校の助手という道を選びました。
▲学生に注意することも多いが、笑顔も絶やさない。それが親しみやすいところでもあるのでは...?


主な仕事内容は、実習の講師の先生のアシスタント、そして学生の指導です。

実習では、様々な洋菓子店のシェフが講師として来て下さいます。実習前には、その先生方との連絡のやりとり、実習で使用する材料の発注、レシピの作成、材料の計量などがあります。
実習時間は、先生が作業しやすい環境作りをします。 具体的には使用する器具や材料の準備や、洗い物、作業の補助等を行います。
実習は、まず先生のデモンストレーションからはじまります。学生は椅子に座ってその様子をみて、手順を把握し、メモをとります。その後、各班に戻り作業を始めます。

講師の先生が使用する器具を予め準備しておく▲
その間、講師が学生の様子をみながら指導して下さいますが、先生1人だけでは、周り切れませんので、私も学生の指導にまわります。デモンストレーションを見ていても実際に作業してみると、「あれ?」という学生も少なくないのです。

焼き物を作る場合には、窯(かま・オーブン)も基本的に助手が担当します。でも最近は窯のスイッチの入れ方も分からない学生がいると言うことがわかりました。それでは就職してから困るので、出来るときには学生にも窯を担当させています。

実習の間は、先生・学生の動き、窯の様子などを見ながら、スムーズに実習が進行できるように気を付けています。 実習が終了したら、道具点検や、掃除、翌日の準備を行います。放課後は、学生が絞りなどの自主練習を行う場合にはその指導にあたります。

それから、毎日製菓の助手6名でミーティングを行っています。連絡事項や明日の準備等について話し合います。その他に週3回程教職員が集まり、学生の就職活動や様々な連絡事項についての会議があります。

▲「Cake Orange 」を窯に入れる。いれる台数によって焼き時間も変わってくる。先生や学生の様子を気にかけながらも窯の状態も頭に入れて動く。

学生の指導についてですが、今年から担任のクラスを受け持っているんです。1クラスに35人の学生がいます。
それぞれの学生が学校生活をうまく送れているか、就職についてはどう思っているのか?生活態度はきちんとしているか。等を気を付けてみています。
毎日の学校生活でもよく声をかけるようにしていますし、二者面談を行ったり、就職の相談にのることもよくあります。

また実習意外では、地方の高校に学校説明会のために出張して、お菓子を作る等のデモンストレーションを行ったり、一般向けのパンセミナーの際に提供するオリジナルのお菓子の作成・そのお菓子に合わせた紅茶の準備もしています。
太田シェフ作の「Cake Orange」。ふっくらと中央が盛り上がった美しいケーキが焼き上がった。▲


起床 5:00 
家を出る 6:20
出社 7:20
授業(実習)

9:00〜12:00

昼食 12:00〜13:00
事務 13:00〜16:00
清掃・翌日の準備・ミーティング 16:00〜19:00

【MEMO】
午前実習の日は、午後は専任講師による講義。午前講義の日は、午後実習というカリキュラム。講義の時間は、事務作業(レシピ作成等)、セミナーの準備、翌日の準備、買い物等をする事が多い。

学園祭やジャパンケーキショー(年に1度のお菓子の大会)がある時期には、学生が学校に残って作品作りをするので、その指導や、アドバイスを行うこともある。
忙しい時期には終電まで仕事をすることもあるそうだ。
その分学生が休みの期間(夏休み等)には、早めに仕事を切り上げるようにしてバランスをとっている。

1日のスケジュールや必要事項がずらーっとメモされている。▲
常に新しい仕事が入ってくるのでメモは欠かせない。



私はまだ年齢的に若いし、人生経験も少ないです。でも自分なりにできることは...?と考えました。
私は、学生を指導する立場ではありますが、若いということは、学生と年齢的に近いので学生に近い視点をもてますし、学生からも親しみを持ってもらいやすいと思います。
学生から親しまれ、信頼されて、「吉村先生だから・・」と相談してくれる事はとても嬉しいことですね。

私は、実際ケーキ屋で働いていた経験があるのでそれを元にアドバイス出来ることもあります。まだ学生のうちは働くことに対する認識があまりないので、具体的な仕事の話や就職活動での注意点などを話すことが多いですね。
そうやって、一緒に進路について話し合ったり悩んだりしていた学生が卒業後、頑張って働いている様子を見るとすごく嬉しいな、と思います。
▲実習後、学生から焼き方についての質問を受ける。自分の経験に基づいてアドバイスをする。
▲実習の学生の様子。1テーブル3人制。班で協力しあって仕込みをする。この日は1人1台持ち帰りなので3台分を仕込んだ。

また、この仕事はいろんな人との出会いがあります。学生も毎年入れ替わりますし、様々な講師の先生がいらっしゃいます。 業界の新しい情報もどんどん入ってきます。

ケーキ屋での仕事でもやりがいや楽しみがありましたが、厨房という空間で1日中働いていたために、もっともっと新しい知識や情報、刺激が欲しいと思っている部分がありました。

現在の職場では、様々な刺激がありますし、自分がやりたいと思ったことが勉強出来る環境なのでとてもやりがいがあります。

実習終了後の様子。連絡事項の達しや道具点検、掃除の指示など、忙しい時間は続く。▲


これからしばらくは助手という仕事で頑張っていきたいと思っています。。学校という恵まれた環境を活かしてできることも多くあるので積極的に取り組んでいきたいと思います。

将来についてですが、もちろんまだまだ先のことですがカフェを開きたいと思っています。
そのためにパンや軽食、紅茶やコーヒー、英語やデザインの勉強もしていきたいです。
もちろん洋菓子・和菓子全般、ショコラやコンフィズリーについてももっと深く勉強していきたいと思っています。
▲「Cake Earl grey(ケーク アールグレイ)」を窯からだす。焼き上がったケーキには各自制作者の名前を書いた紙をおく。


助手になるためには、学校を卒業してすぐに就くこともできます。
でも、そのまま助手になるよりは一度現場で働いた方が、ある程度の技術も身に付くし、就職に関して学生に話してあげられる話の幅が出来ます。

それから、学校には様々な講師の先生がいらっしゃいますが、お忙しい中、実習に来て下さっています。 時間が限られた中での仕事ですので、スムーズに進行するように気を配ることが大切です。
いつも「次に何をして、その次は...」と段取りを考えています。
また、暑い日には冷水を、年輩の先生にはお茶を出すなどのちょっとした細かい気遣いが必要ですね。
▲作業中、各班をまわりながら、学生の指導を行う。次々にテーブルをまわっては声をかける。
それから、助手の先生は6名いるのですが、やはり団体の中で仕事をしていくためには協調性が大切ですね。

自分がこだわるところ、妥協してもよいところ、それを自分でわかることが必要です。自分がこだわりすぎると調和を乱すこともあります。団体で仕事をしている以上、良い意味で妥協する事も大切だと思います。

やはり、この仕事は多くの人と関わっていくので、人への心遣い、気遣い、そして協調性、人が好きといったことが大切だと思います。


 

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