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Sweet Cafe TOPバスクお菓子紀行>vol.6「リオネル・ローさんのデモンストレーション」

vol.6 リオネル・ローさんのデモンストレーション

バイヨンヌの朝市広場のすぐそばにルレ・デセール協会(フランスを中心としたトップパティシエの組織)の会員の一人リオネル・ローさんのお店があります。

お店と工房は離れた場所にあり、デモンストレーションは工房で行われました。工房のある場所は、郊外ののどかな場所にあります。

この時は8月の中旬で、日本では酷暑ともいえる時期でしたがバスクは本当に涼しく(寒い日もあるくらい)、この工房には乾燥した爽やかな風が通り抜けていました。

▲シェフのリオネル・ローさん(左の方)
工房の入り口では、シェフのリオネル・ローさんが出迎えてくれました。早速皆で2階の厨房にむかいました。 厨房はすっきと物が少なく整理されているきれいな厨房でした。
フランス語のルセットを準備していただき、添乗員の方や大森先生の通訳で作り方を教えてもらいます。
シェフの後ろにいるのは、今回アシスタントを務めた若い男の子です。まだ見習い中だったかな?よく気が利いて、ささっと動く姿は見ていて気持ちよかったです。
今回デモンストレーションで教えて頂いたお菓子は3種類でした。
まずはバスク地方で一番ポピュラーなお菓子ガトー・バスクのショコラ版「ガトー・バスク・ショコラ」。そして爽やかな風味の焼き菓子「フォンダン・オランジュ」。それから凝った構成で大人っぽい生菓子の「タルト・ブルビ・オー・スリーズ」。

皆でテーブルの周りを囲み、メモを取りながらひとつひとつの工程を確認していきます。仕込み方は日本でも主流のものや、意外なものもあり、とても興味深い内容でした。
Gâteau Basque Chocolat
-ガトー・バスク・ショコラ-

バスクといえば、このお菓子「ガトー・バスク」です!今回はそのチョコレートバージョンを教えてもらいました。

ガトーバスクの生地にもいろいろあると思いますが、こちらはほろっとした崩れやすい食感で、日をおくと少しずつクリームの水分を吸ってしっとりしてきます。
中のクリームは全卵を使ったカスタードを使用。卵黄だけのカスタードよりもやや柔らかく仕上がります。
それは、生地につめた後に焼成することでクリームの水分が飛ぶことを考慮したためだとか。
ほろ苦いショコラの風味とほんのりラム酒の香りが漂う大人っぽいガトー・バスクでした。
▲生地は絞るのではなく、成形して敷きこむタイプ。 ▲フォークの背をつかって、ササッと模様をつけて。

▲ホールサイズのガトー・バスクにはクリームがたっぷりと入っています。

Tarte Brebis aux Cerises
-さくらんぼ入りブルビのタルト-
このお菓子は完成するまで、一体どんな形になるのか予想しづらいお菓子でした。完成した姿は圧巻!大きなボール状のムースがこんもりと盛られていて、かなりボリュームたっぷりです。
構成は、ピスタチオクリーム入りのタルトに、4種類のチェリーを使ったゼリーを重ね、その上からミント風味のババロアを流しています、ボール状のムースもミントのババロアです。
飾りにはチェリー、ピスタチオナッツ、ミント、パートドフリュイ(チェリー風味かな?)、金箔を使っています。

さくらんぼとピスタチオの組み合わせはよく見かけますが、それにミントを加え、夏らしく爽やかなお菓子に仕上がっています。見た目にも淡いグリーンに深いボルドーが映えて洗練された仕上がりでした。

※「ブルビ」とは羊の乳。バスクでは羊の放牧が盛ん。この時期は、入手できなかったために牛乳を使用しました。
▲重石をのせてタルトを焼成。 ▲タルトに4種のチェリーを使ったゼリーを重ねます。

▲ボール状のムースがダイナミックに盛られていきます!

Fondant à l'Orange
-フォンダン・オランジュ-

浅めのクグロフのような型「トロワ・フレール型」で焼いた、オレンジ風味のバターケーキです。
使っている材料は、普通のバターケーキとそんなに変わらないのですが、製法に工夫をしふわ〜っとしたソフトな食感の軽い口当たりに仕上がっています。

グラスアローを表面にかけ、オレンジピールとアーモンドを飾ると華のある素敵なお菓子に仕上がりました。

このお菓子を学んでからというもの、ついついトロワ・フレール型をみかけると買いたい衝動に駆られます。もし型を購入したら是非このお菓子を作ってみたいと思います。
▲メレンゲをふんわりとあわせる ▲トロワフレールとケーク型でやきました。

▲グラスアローの扱いは温度管理がポイント

最後は、試食タイムです。
親切にも試食用にプチサイズで作られたお菓子が美しくディスプレイされていました。フォンダンオランジュは小さなケーク型、タルト・ブルビ・オー・スリーズはグラス仕上げになっていました。

どれも素材の味がストレートに分かる味わい。個人的にはフォンダンオランジュが一番好みでした。しっとりふんわりした食感にやさしいオレンジの爽やかさがきいていて、3つのお菓子の中では最も日本人好みの味かな?と思います。

タルト・ブルビ・オー・スリーズは、グラス仕立てでタルト部分が食べられなかったのがちょっと残念!ミントのすがすがしさが印象的でした。
ガトー・バスク・ショコラは、かなりビター感があり中のクリームがたっぷりと入っていました。生地がもろくデリケートな食感なのが新鮮でした。

試食でも充分頂いたのですが、お土産にこんなかわいいガトー・バスク3個セットを頂きました。 左からチェリー、ショコラ、カスタードのガトーバスクです。
小さなサイズで全ての味を頂けるはとても嬉しいですね!

本来はこのプティサイズは作っていないようですが、今回のデモンストレーションに併せて作って下さったとか。そんな気遣いをしてくださったシェフと、この機会を作ってくださった大森先生に感謝です!

バスクに到着してはじめて食べたガトー・バスクはこのリオネル・ローさんのもの。比較的生地がしっとりとしてやさしい甘み。これから先もガトー・バスクを食べる旅は続きます!
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【リオネル・ローさんのパティスリー】
L.RAUX
7,rue Bernadou 64100 Bayonne
TEL 05 59 59 34 61


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